この2日使ってみて

正直、完成度が低いといわざるを得ません。5/1のウィルコム定額プランで、ユーザーが増えて勢いがついています。その勢いに乗ってこの年末に多くのラインナップを発売し、その中にはW-ZERO3という注目を浴びる機種も用意されている、それは戦略的には正しいのでしょう。今まで1度にこれほどの機種を用意したこともないでしょうし、時間的にもかなり厳しいものだったと思うのですが、関係者の方々はものすごくがんばっていただいたことだと思います。ご苦労様です・・・という事実があろうと、少なくともこの現状を考えると、無理しすぎだと思います。
AH-K3001V発売時にもトラブルはありました。また、ありがたいことにその後何度もファームウェアのバージョンアップを行い不具合の修正だけでなく改善もされていきました。
ただし、そのAH-K3001Vも、ここまでひどくはなかったと思います。正直なところ、これまで出ているトラブルは携帯電話としての基本的な機能で不具合が出ていると思うのですがいかがなものでしょうか?
時間的な制約もある中、ものすごくがんばったのだと思いますが、AH-K3001Vの時のようにファームウェアのバージョンアップでの対処、という甘えがあったとしか思えません。
これって携帯電話なのですよ。パソコンがカタログに掲載されている1部機能が後日バージョンアップにより使えるようになるということを目にしますが、やはりそういうものとは違います。もちろん、最近の情報家電もそうですが、昔の単純な家電とは違い、複雑になっており1度で完全なものが出来なくなっていることもあるかもしれません。特に携帯電話などは単独で通信が出来るので発売後のアップデートということもしやすいでしょう。
でも、少なくとも基本的なところはやはり抑えておくべきではないでしょうか?
この状況を見ているとW-ZERO3もどうかと思います。PDA的側面もありますしそういった部分でアップデートというものが必要な商品ではあるかもしれませんが、やはり基本的な部分は押さえていなくてはいけないと思います。
京セラとシャープはメーカも違うし、ということではなく、そもそも無理なスケジュールを引いてしまったウィルコム自体にも問題あるでしょうね。
マニアな方は気づきにくいとは思いますが、5/1のウィルコム定額プラン以降、本当に普通の方がウィルコムという新しい定額携帯電話というものを受け入れています。彼らにはDDIポケットというものの存在を知らない人もいるでしょう。下手をするとPHSということも知らない方もいるかもしれません。Operaというフルブラウザが載っているものの、なんともレスポンスの悪く、外出中にバッテリが無くなっても外で充電も出来ないしバッテリも売っていない(USB充電というのは個人的には助かっていますが普通に使われている方からすれば特にメリットがないものです)、はっきりいえば小さいだけが取り柄のAH-K3001Vが売れたのは、ひとえに通話やEメールが定額だということが最大限の魅力に他なりません。携帯電話としての基本的な機能を電話代というものを意識せずに使えるわけです。
基本をおろそかにしては何もならないです。この状況を考えるとW-ZERO3の出荷時の出来もどうかと思います。
別にW-ZERO3が思い切りコケてウィルコムが倒産しようと自業自得ですが(個人的には困りますが)、それでスマートフォンというもののイメージが悪くなるようなことであれば本当にありがた迷惑ですね。
ついでに言わせていただきたいのが、スマートフォンとは言ってませんよという意見を何度もいただきましたが、言ってる、言ってない、ではなく、少なくとも電話もできちゃう高機能な端末という扱いが、一般の人が考える「スマートフォン」という定義(がしっかりはしていないですが)、のものだということでこういう表現をしているわけです。メーカーがスマートフォンとは言ってなくても、これは電話ではないですよというアピールも特になく、逆に通話も出来るということをアピールしたり音声ラインナップの1つで扱っていたりしているわけで、そういう電話という側面があるからこそ、私も電話の基本的な機能が出荷時から抑えられていないとまずいのでは? と思うわけです。
別にマニアな方だけを相手の商売であるW-ZERO3なら良いのですが、ソニーPDAから撤退し、東芝も新機種を出さず、シャープもSL-C700以降、あまり大きく変わっていない、という状況の市場に、5万以下の価格でW-ZERO3を売ることがビジネスとして成立するかなんて事は誰でもわかることです。結局、普通の人にも買っていただかないといけないのです。それはウィルコムW-ZERO3の発表時にもPDAユーザーだけを相手にしているわけではないことはわかるはずです。
先ほどのパソコンの例を考えていただければわかるとは思いますが、PDA的な部分の不備はまだしも、携帯電話としての不備があるのでは、問題ありだと思います。既にWX310Kという携帯電話型の端末でこの状況ですからね。
個人的にはWX310Kは気に入っています。なかなか快適です。不具合だってきっとファームウェアのアップデートなどで解決されていくでしょう。しかし、ウィルコムの考えの甘さが見え隠れしているようでちょっと残念です。