マイクロソフトMES

あまりF1に詳しくない方には若干説明が必要ではあるが、2008年よりタイヤとECUワンメイク化される。
それは以前から決まっていたことであるが、要はスピードとコストアップを抑えることである。スピードは安全面の問題もあり、コストに関して言えば、コストがどんどん上がってしまえば、小規模なチームは参戦自体が難しくなり、撤退する可能性もある。
タイヤに関しては複数メーカーが参入していればお互い競って開発するわけで、どんどんスピードが上がっていってしまう。
ECUはそれぞれのメーカーが独自で開発していればコストアップにもなり、お金をかければかけるほど良い物が出来る、というか、まず全体にどこをどういう風に電子制御するかを考え、それにあわせてECUを作るのでしょうけれど、開発コストによる差が大きければチーム間の差も大きくなりコレも問題というわけです。
今年より、エンジンは、3.0リットルV10→2.4リットルV8、と変更されたわけだが、これはコストダウン(新規開発しないといけないわけで個人的には到底思えないけど)とスピードダウンである。ただ、こんなことは開幕する前からわかっていたわけだが、エンジンは軽くなる、しかしパワーが無い、となればコーナリングで稼ぐしかない。また、昨年と違い、レース中のタイヤ交換が今年は復活して、タイヤのロングライフは特に考える必要は無く、車も軽いので無理も利く、ということで今まで以上にタイヤの依存度が高くなってきたわけで、実際、ブリジストンミシュランは切磋琢磨している。
当初、ブリジストンミシュランも1メイク化には反対していたようだ。確かに1メイク化されれば、あくなき技術の追求も無くなり、コストダウンになり、それはメーカーにとっても助かるだろうが、ライバルなしではあまり宣伝にもならない。それに、1メイク化されれば、どちらかがF1の舞台から降りなければいけないわけです。
特にミシュランは撤退する気などさらさら無く、色々なコネクションでFIAに影響を与えていたようだが、昨年のアメリカGPのボイコット(簡単に説明すればレース中にミシュランのタイヤに問題が発見され安全上そのタイヤでの決勝は行えない。しかしレギュレーション上レースにあわせて持ち込んだタイヤの交換は許されず、結果、ブリジストンをはいたチームの6台のみがレースをするという最悪な結果になった)、以降、流れが大きく変わってしまい、結果、ミシュランは2007年にはエントリーしないということになった。
反対するものもいなければ、ワンメイク化の話も決定になってしまった。
先日、その入札が行われ、結果が発表された。
タイヤは当初の予想通りブリジストンとなった。
問題はECU
これがどこになるかなぜか噂にならなかったのです。といっても、こんなことが出来るのは大手の企業ですから、ボッシュやマニェティ・マレッリやZFではないかな? と思っていた。欧州車、それもちょっと古い車に乗ったことがある方ならば聞き覚えのある、○ジェトロニック、等で有名なわけだが、現在、ボッシュやマニェティ・マレッリはインジェクションだけを作って、ZFはミッションばかり作っているわけではない。日本ではこうした車関係の独立した技術会社があまり無いから目立たないわけで、欧州車では、こういうメーカーなしには車は作れない。古くはABSを始め、TCSや4WS等もこれらのメーカーが一生懸命開発しているわけである。
スタンダードECUを作るメーカーはこれらの会社だろうと思っていたら・・・
マイクロソフトMES
こんな会社が落札しました。何でしょう? この会社? というか、マイクロソフトもいろいろなところに顔を出すと思いましたが、少なくとも車関係には手を出していないと思います(カーナビ関連は別ですよ)。なぜ、このような実績の会社が選ばれるのだろう???
と思っていたら、どうやら、マクラーレン関連のあのTAGとマイクロソフト合弁会社のようです。
TAG自体はレース関係には充分な実績がありますが、さすがに全チームに供給して面倒を見るほどの規模ではないのでしょう。そこでマイクロソフトが現れたということでしょう。
しかし・・・こういう形でマイクロソフトがレースと絡んでくるとは予想もしていませんでした。
ま、マイクロソフトが単独でやるわけでもなく、事実上、TAGがやるのでしょうから安心ですけどね。